吉田松陰『幽囚録』は予言かそれとも脚本か。

Yoshida_Shoin 吉田松陰像(山口県文書館蔵)

恐るべし吉田松陰。


当ブログでもお馴染みの
幕末の狂気こと吉田松陰

驚いたことに
明治から戦前の時代までの
日本の歩んできた歴史を
暗示したかのような予言書、

否、日本の未来を
脚本したようなシナリオを
1867年の大政奉還から遡ること
13年も前の1854年に
書いているではないですか。

それがタイトルにもある
「幽囚録」なる思想書デス。

以下、特に注目に値する
箇所を抜粋しましたので、
現代語訳だけでもお読み下さい。
特に色のついた部分デス。

原文:
日不レ升則昃、月不レ盈則虧、國不レ隆則替、故善保レ國者、不二徒無一レ失二其所一レ有、又有レ増二其所一レ無、今急修二武備一、艦略具、礮略足、則宜開二-墾蝦夷一、封二-建諸侯一、乘レ間奪二加摸察加隩都加一、諭二琉球一朝覲會同比內諸侯、責レ朝-鮮納レ質奉レ貢、如二古盛時一、北割二満州之地一、南牧二台灣呂宋諸嶋一、漸示二進取之勢一、然後愛レ民養レ士、慎二守邊一、固則可レ謂二善保一レ國、矣不然坐于群夷爭聚之中、無二能舉レ足揺一レ手而國不レ替者其幾與、

読み下し:
日は升のぼらざらば則ち昃かたむき、月は盈みたざれば則ち虧かけ、國は隆さかんならざれば則ち替すたれる。故に善く國を保つ者は、徒いたずらに其れ有る所を失うこと無からず、又た其れ無き所を増すこと有り。今ま急に武備を修め、艦略具そなえ、礮略足らし、則ち宜しく蝦夷を開墾して、諸侯を封建し、間に乘じて加摸察加カムチャッカ隩都加オホーツクを奪かちとり、琉球を諭し朝覲會同し比ひして内諸侯とし、朝鮮を責め、質を納め貢を奉る、古いにしえの盛時の如くし、北は滿州の地を割わり、南は台灣・呂宋ルソン諸島を牧おさめ、漸に進取の勢を示すべし。然る後に民を愛し士を養い、守邊を愼みて、固く則ち善く國を保つと謂うべし。然らず坐して群夷が爭い聚まる中、能く足を擧げ手を搖すこと無けれども、國の替すたれざらん者は其の幾きと與ともなり。

現代語訳:
日が昇らなければ沈み、月が満ちなければ欠け、国が繁栄しなければ衰廃する。よって、国を善良に保つのに、むなしくも廃れた地を失うことは有り得て、廃れてない地を増やすこともある。今、急いで軍備を整え、艦計を持ち、砲計も加えたら、直ぐにぜひとも北海道を開拓して諸侯を封建し、隙に乗じてカムチャツカ半島とオホーツクを取り、琉球を説得し謁見し理性的に交流して内諸侯とし、朝鮮に要求し質を納め貢を奉っていた昔の盛時のようにし、北は満州の地を分割し、南は台湾とルソン諸島を治め、少しずつ進取の勢いを示すべきだ。その後、住民を愛し、徳の高い人を養い、防衛に気を配り、しっかりとつまり善良に国を維持すると宣言するべきだ。そうでなくじっとしていて、異民族集団が争って集まっている中で、うまく足を上げて手を揺らすことはなかったけれども、国の廃れないことは其の機と共にある。

WIKISORCEより引用

1854年4月24日、
下田沖に停泊していた
黒船ポーハタン号での
密航が失敗に終わって、
下田奉行所に自首し、
小伝馬町の獄に収監された後、

長州・萩に移送され、
野山獄に繋がれてる間、
もしくは実家の杉家に作られた
三畳半の幽囚室での謹慎中に
この「幽囚録」なる95Pに渡る
思想書を書いたようですが、
その「幽囚録」のP33に
この文章が書かれてます。
松蔭この時、僅か24歳。

不幸にも実際の歴史は
カムチャッカ半島までは
進出できなかったものの
樺太半分・千島列島を領有、
オホーツク海の1/3を領海とし、
韓国・台湾併合、満州国建国、
フィリピンに侵攻するなど
吉田松陰のシナリオ通りに
事は進んでしまいました。

但し、吉田松陰のこの書が
長州陸軍閥に影響したことは
論を俟たないまでも

また、今の世の倫理観では
この極右と言ってもいい思想は
到底受け入れられないものの

幕末当時の英仏米の
アジア植民地化の脅威、
加えて浦賀沖に停泊した黒船が
現実に砲を放って威嚇するなど、
もはや日本の国防対策は
待ったなしの状況であり、

これら差し迫った状況が
戦国時代より連なる
武士の誇り高き大和魂を
刺激したことは言うまでもなく、

尊王攘夷の元祖とも言える
水戸学の権威・藤田東湖や
開国派の佐久間象山、
天保学の真木保臣などから
連なる松陰と同様の思想家は
日本に数多存在しており、

結果、松陰が歴史の歯車を
少し早く回したに過ぎず、
遅かれ早かれその後の
残酷な日本の歴史の流れは
誰も止めようがなかったのでは
とボクは思っている次第デス。

ご先祖様の多くの犠牲の上に
今の平和があること、
ただただ感謝あるのみデス。

PS.

その後、急務四条、対策一道
要駕策主意などの献策書、
弟子たちへの遺書・留魂録、
数多く遺した手紙などを読むに

老中・間部詮勝暗殺を企むなど
過激な発想もままあるものの
海外侵略の過激思想は影を潜め、
極めて現実的な国防策を
献策する方向に転換しています。

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□□□ 東雲乃囁 □□□□□□□□□□

明日、日本が
滅びるとしても
今日、ボクは
明日のブログを書いている。