モンクレールはもう終わったのか?

昨年末、帰省でごった返す東京駅で異常な光景を見た。


ある2つのブランドのダウンが東京駅の帰省客を独占していたのだ。

ひとつは昨年からダウンに価格革命を仕掛けたユニクロ。
そして、もうひとつがダウンの王者モンクレールだ。

もちろんユニクロのダウンはあれだけの販売力と激安価格だ、
販売期間がわずかであったとしても氾濫しても何らおかしくない。

しかし、モンクレールはなぜ?

優にユニクロの10倍以上もの価格のするダウンジャケット、
いくら防寒機能が高いと言ってもそうそう買える代物ではない。
いつからそんなに日本人はお金持ちになったのか???

いや、帰省時の東京駅だけではない。
真冬の銀座の街でも同様以上の現象を見ることができる。
特にバーニーズニューヨーク銀座店のメンズ売場に行けば
モンクレールを着ていない男子のほうが少ないほどだ。

実はこのモンクレール飽和現象は今に始まったことではなく、
もう2年以上前から目撃されていること。

『モンクレールは今年で終焉!』

と、ファッション業界内でも毎年囁かれた話。

しかし、現実はどうかというと、
相変わらずモンクレールは王様なのだ。

これと似たことを他のブランドでも経験してる。

Louis Vuittonだ。

ルイ・ヴィトンも昔、猫も杓子もモノグラムな時代があった。
フランス人からは『日本の女性はヴィトンのバッグしか
持ってはいけない法律でもあるのか?』
とまで言われるほどまで飽和状態にあった。

では、その後ヴィトンは終わったのか?

否、終わっていない。
終わるどころか益々力をつけた無敵の王国になっている。

つまり、モンクレールはヴィトンと同じ終わりのない
境地に達してしまったんではないかと思う。
これがボクのモンクレールに対する結論だ。

では、なぜそんな境地に達することが出来たのか?
それはモンクレールがダウンを極め尽くしているからだ。

ダウンをはじめとする高品質な原材料への拘り、
長年の経験に裏付けられた高度なダウン縫製仕様、
緻密なブランディングと万全のアフターサービス、
そこにはダウン完璧主義が貫かれているのだ。

さらにトム・ブラウンと組んだガム・ブルーを始め
sacaiとのコラボによる『s』や
visvimとのコラボによる『V』など、
実力のあるブランドを自らに取り込むことによって
さらに逞しく成長している。

さらにダウンというモノ作りに経験が必要なアイテムの場合、
ラグジュアリーブランドや有名セレクトショップが
なんちゃってレベルでダウン製品を作ったとしても
モンクレールの足元にも及ばないのは明白なのだ。

先日、エッフェルチェアのレプリカの記事をUPしたが
やっぱりレプリカがオリジナルに及ばないのと同じなのだ。

ダウン専業ブランドのDUVETICAはどうか?

確かにデュベティカは最もモンクレールに近いところにいる。
DUVETICA社長のジャンピエロ・バリアーノ氏は
もともとモンクレーの社長兼クリエイティブディレクターで
モンクレーを登山服から現在のファッションブランドに
転換させた立役者でもあり、モンクレールを熟知している。
原料も縫製レベルもアフターサービスも同レベルと言っていい。

しかし、デュベティカは希少性の高い高級ダウン、
フランス産グレーグースダウンに創業以来拘りを持っており、
もともと生産量に限界があるのだ。
モンクレールのように幅広いデザインラインを揃え、
規模を大きくしたくても原料のダウン自体に限界がある。
つまり、今のデュベティカでは残念ながら追いつけない。

もはやモンクレールはダウン王国の領域を越え、
巨大なファッション帝国を築き始めたと言っても過言ではないだろう。

※ちと褒め殺し過ぎた感も無きにもあらず?(苦笑)