谷沢永一著書『 開高健の名言 』。

谷沢永一 開高健の名言

日本の空気は酸素と窒素と
わびしさからできている。


さて、開高健マニアであれば
本書の著者・谷沢永一氏のことは
よくご存じだろう。

「鬼の谷沢」と評されるほど
厳しい文芸評論を行い、
もし今、谷沢氏が存命であれば
これほど今の文芸界が荒れることは
なかっただろうとも言われるほどの
超一級の文芸評論家である。

そして、

教師だった父親を早くに亡くし、
貧困を極めていた開高健に
中学時代1年先輩ながら
本を貸し続けた恩人でもある。

実は開高健は中学に昼の弁当を
持参することもできなかった為、
昼食の時間は校庭の隅っこで
谷沢から借りた本を一人黙々と
読むことが日課だったそうだ。

開高の「絶対語感」ともいえる
語彙の豊富さは谷沢によって
もたらされたのかもしれない。

さて、冒頭の書「開高健の名言」は
そんな開高健の畏友とも言える
谷沢永一が、表現に鏤骨の呻吟を
なすのみならず、世界を、世相を
人間を、絶えず観察し思考していた
開高健の全貌を広く読書界に
認知させようと書いた書、
要するに開高健の解説書である。

がしかし、

ただでさえ難解な語句を使って
文章を書き殴る開高健と
同レベルの語彙力をもった
谷沢永一だけあって、
その解説レベルは
スピード感溢れるライト級
ボクサー同士の試合のようで、
ついていけないこと甚だ多し。

たまに理解できると
すこぶる嬉しくなるほどである。

さて、先日、
こんなニュースが流れていた。

ソニーがロボット復活か、
米AI企業に出資 来年にも製品化
http://jp.reuters.com/article/sony-robot-ai-idJPKCN0Y825Q

Google Alphabet傘下の
ロボット企業「ボストン・ダイナミクス」、
トヨタへの売却が合意間近か
http://robotstart.info/…/28/news-toyota-boston_dynamics.html

偶然にも
工学ロボットの世界で
日本が一時期にも世界シェアの
80%を獲得できたのは、

手塚治虫、
たった一人の功績によるものだと
本書に書いてあったので、
そのエピソードを披露しよう。

チェコの作家
カレル・チャペックによって
初めて公となったロボットの物語は
結末で人類を滅ぼしてしまった。

その為、欧州諸国では、
ロボットに悪魔のイメージが宿り、
厭うべき異形の者として避けられた。

チャップリンの
モダン・タイムス然りだ。

そんな中、手塚治虫は
アトムやロビタなどを描き、
ロボットのあるべき未来の姿を示し、
日本を世界屈指のロボット大国に
導いたと谷沢は述懐している。

手塚治虫が我々に遺してくれた
日本人の根幹のひとつとも言える
ロボットへの熱き想いが
後世に引き継がれることを祈りたい。