泉・俺の湯道。

Pen(ペン)2023年3月号[特集:湯道へ、ようこそ]

Pen 2023年3月号


銭湯や温泉の思い出って
あんまり記憶にないんだけど
大学の卒業旅行で行った
別府温泉の共同浴場だけは
一生忘れることはないだろう。

当時のボクは
手に入れたばかりの
新車ホンダ CR-X
悪友二人と繰り出して
目的もなく西の方角へ向かった。

それがいつしか神戸、広島
山口とどんどん西へ突き進み
いつしか九州にも上陸
阿蘇山の米塚を拝んだ後
深夜に高千穂峡まで辿り着いた。

がしかし、、、

深夜真っ暗で高千穂峡は
見えないばかりか
あまりの寒さで凍える始末
エンジンをかけたままで
仮眠を取りたかったが
ガスがいつまでもつか分からない。

そこで、深夜営業の
ガススタンドを求めるべく
眠い目をこすって
慌てて別府温泉まで北上を始めた。

なんとか別府温泉まで
辿り着いたのは良かったが
ガスはほとんど残されてなかった。

で、凍え死にそうな中
深夜に偶然見つけたのが
無人の簡易共同浴場だった。

ところがだ。

ふたり全裸になって
勢いよく湯船に浸かろうしたが
お湯が地獄のように熱かったのだ。
とても湯船には入れない。
たぶん50度近くあっただろう。

そして、その共同浴場は
囲いがあるだけの吹きさらしで
ほぼ冷凍庫の中の露天風呂であった。

そのため湯船には入れず
洗い場もなかったため
湯船の熱湯を桶に汲んで
冷まして被るという行為を
ひたすら繰り返す羽目に(涙)

ま、そんなわけで
一生忘れることができない
卒業旅行の湯道となったのであった。

了。

さて、映画の湯道はどんなだろうか。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

滝野川稲荷湯

映画『テルマエ・ロマエ』のロケ地

近々行かねばだ。