ダウンジャケットの変色問題。

2014年 デュベティカ x ウノピュウノウグァーレトレ コラボレーションダウンジャケット 1PIU1UGUAE3 × DUVETICA WOOL mt-113 HOODED DOWN JACKET 2014

ダウンジャケット着るにはこんな覚悟が必要なんデス。


ダウンジャケットやダウンコートを長く使用していると避けて通れない問題があります。

それは・・・変色問題。

ダウンジャケットで主に使用されているナイロン素材は、その構造上ウールや絹と繊維組成的に類似しており、撥水性に優れ、軽くしなやかで、微妙なニュアンスのカラーも思い通りに染色できるという極めて使い勝手の良い素材なんですが、そのデメリットとして窒素酸化物や紫外線などによる酸化、及び染料や加工剤自体の黄変が発生しやすく、変色(退色・色褪せ・黄変)しやすい性質をもった素材と言われています。

特にドライクリーニング後の溶剤が乾ききらず、少しでも残った状態でビニール袋をかけて放置しておくと、ビニール袋に接触しやすい肩や袖の外側部分やナイロン生地の重なった縫製部分、フードの内側部分なんかが半年後にはがっつり緑色系に変色したりします。そんなわけでクリーニング屋さんに取りに行くのを忘れたりせず、すぐに引き取ってクリーニング後は必ずビニール袋から出して風通しの良い場所で陰干ししてくださいネ。ま、そもそもナイロンの性質を良く知ってる優良なクリーニング屋さんなら洗濯ラベルが例えドライ可になっててもドライクリーニングするなんてリスクは犯さず、シンプルに水洗いしているとは思いますが。

その逆にポリエステル素材は構造上思い通りのカラーに染められない代わりに、いったん染めてしまうと変色しにくい性質をもっています。

では、なぜ変色リスクがあるにも拘わらずポリエステル素材ではなくナイロン素材を使い続けているのか、Moncler(モンクレール)やDUVETICA(デュベティカ)、TATRAS(タトラス)、CANADA GOOSE(カナダグース)、Herno(ヘルノ)をはじめとしたダウンジャケットメーカーはそこまで頭が悪いのか?とお怒りになられるユーザーがいるかと思われますが、実はナイロン素材を使わざるえない理由があるんデス。

その最大の理由はずばり・・・

ナイロンは燃えにくいから。

いわゆるナイロンが極めて【 難燃性 】の素材だからなんデス。

ダウンジャケットは当然ながら中にダウンボールとフェザーが入っていますので、ストーブに近づきすぎたり、火の粉やらを被って表素材に火が着いて、万が一中のダウンまで燃え拡がったらさあ大変一大事デス。下手すると全身黒焦げになっちゃいます。

参考までにコチラの動画をどうぞ。

ご覧の通りナイロンは火が着いてもくしゅくしゅと縮こまるように溶けるだけで、燃え上がることはありません。逆にポリエステル素材は火がつくとかなり燃え上がってしまいます。よって例え変色リスクを抱えようとも安全性を考慮すると表裏ともにナイロン素材を使用するのが正解というわけなんですネ。

その昔ユニクロに表裏ともにポリエステル100%素材が使われたダウンジャケットがありましたが、今のユニクロは表ナイロン100%、裏ポリエステル100%が一般的デス。裏に燃焼リスクのあるポリエステル素材が使われている理由は、ちょっと計り兼ねますが。。。

また大手スポーツメーカーでも表裏にポリエステル素材を使用しているブランドが今も存在していますので、難燃剤などが付着したた防炎加工がちゃんとなされているか要チェックです。

さらに最近はダウンジャケットを軽く仕上げるために、表地はナイロンを使用しているもののナイロン製ダウンパックで包まれていない一重のダウンジャケットがあったりしますが、これも結構考えようによっては危険な代物なので取り扱い注意デス。

科学の力をもって変色しにくい染色がナイロンでもできるようになればよいのですが、そういう染色はどうしても濃色系や色気のないベタなカラーになってしまうので、なかなか難しいところですね。

以上の通り、10年以上着用したいのなら最初から変色リスクのない濃色系の色を選択するか、あくまで自分の気に入った色を選択し、万が一変色した場合には濃色系に染め直しをする、もしくはインキングするという不退転の覚悟をもつか、クリーニングはドライクリーニングをせず水洗いのみとし、クリーニング後しっかりと陰干しする、はたまたポリエステル素材を選んで決死の覚悟をするか、のどれかだと思われます。

PS.

続いてファー(毛皮)の問題デス。

ダウンの表地にナイロン素材を使用する場合、リアルファーを使用しなければなりません。アクリルが主体のフェイクファーは基本的に使用できません。

何故ならナイロンは+(プラス)帯電なので、もし-(マイナス)帯電のアクリル製フェイクファーを使用してしまった場合、静電気によってナイロン素材にフェイクファーがべったりと張り付いてしまうからなのデス。故にナイロン素材には+(プラス)帯電のリアルファーを使用してやるのが基本なのですね。

最近になってナイロン素材を使ったユニクロのダウンジャケットにフェイクファー付きがなくなったのはそういう理由からだと思いますよ。多分。