あの大騒動から11年。
2016年1月に発行された
小保方晴子氏の著書《あの日》を読了した。
2014年に起きた
STAP細胞騒動において
一方的ともいえる
バッシングを受けた小保方氏が
その渦中においてどのような心持ちで
「あの日々」を過ごしていたのか。
今さらながら本書を通じて検証してみたくなった。
そして、結果として以下4つのポイントに行きついた。
1. 一般メディアを巻きこんだ大騒動
そもそもSTAP細胞が発現したのは、マウスの細胞を用いた実験段階に過ぎない。
人の細胞での再現には至っておらず、これは研究の最初の一歩を踏み出したにすぎなかった。
山中伸弥教授のiPS細胞発見でのノーベル賞授与があったとはいえ、あそこまで小保方氏とSTAP細胞が世間に注目されたのは、今思えば過剰反応だったと言わざる得ない。
STAP細胞の発表は、「万能細胞をより簡単に作れる画期的手法」として報道され、iPS細胞の山中教授に並ぶ“日本発の大発見”と持ち上げられた。
しかも、その発見者が若き女性科学者であったことから、メディアはセンセーショナルに取り上げ、期待と注目が一気に加熱した。
つまり、騒ぎを起こしたのは科学界ではなく、一般メディアとそれに影響を受けた世間の反応によるものだった。
2. STAP細胞の発現と初期研究の背景
STAP細胞の発現が最初に報告されたのは、理化学研究所・若山照彦氏の研究室において、小保方晴子氏が研究員として所属していた2012年頃とされている。
この段階での研究は若山氏の管理下で行われており、STAP細胞発現の重要な検証手段であるキメラマウスの作製も、若山氏が担当していた。
後に問題視されたES細胞の混入についても、若山氏の研究所内で発生していたのだ。
したがって、小保方氏が2013年4月に理研のユニットリーダーに昇格して以降の研究環境で不正が行われたのではなく、むしろ問題の多くは、若山研究室での共同研究段階に起因していた。
つまり、もともとSTAP細胞騒動の主演は若山氏、助演は小保方氏といってもいいくらいだった。
しかしながら、ネイチャーに提出された論文において、STAP細胞の発現画像を貼り付けなればならないところ、小保方氏が別の細胞画像データを貼り付けるなどのミスを犯してしまい、しかもSTAP細胞の発現画像原データを紛失したことなどから疑惑の目が一気に小保方氏に向けられてしまう。
のちに若山氏はSTAP細胞の発現画像原データという重要な証拠を確認してなかったと述べており、それこそPI(研究責任者)としてあるまじき重大な監督不行届ではないだろうか。
3. 再現検証の失敗
その一方で、小保方氏も最初のSTAP細胞発現以来、理研のユニットリーダーに昇格してからも再現テストに繰り返し失敗していた。
また若山氏も山梨大学に移転後、小保方氏からのプロトコルを用いてSTAP細胞作製を試みたが、すべて失敗と証言(2014年3月記者会見)。
にも拘わらず再現性のないSTAP論文をどうしてネイチャーに提出してしまったのだろうか。
小保方氏の独断で提出したとはとても思えない。
4. 若山氏の冷淡な対応
前述のように、STAP細胞の発現は実質的に小保方氏が若山氏の部下であった時期に起きており、さらにSTAP細胞に関する特許出願についても、若山氏が出願比率を自身51%、小保方氏39%、他10%とすることを理研に提案していたと小保方氏は語っている。
にもかかわらず、2014年にSTAP論文の信憑性が問われはじめると、若山氏は小保方氏と直接話し合うことなく距離を置き、さらにSTAP細胞の提供元が異なる可能性があるなどの発言を通じて、世間に小保方氏への疑念を一層強めるような情報を発信した。
なぜ上司が直属の部下を地獄に突き落とすようなことができたのだろうか?
論文の英語化・構成・図表整理・論旨構築を主導しただけでバッシングされた挙句、自死に追い込まれてしまった理研CDB副センター長の笹井芳樹氏が不憫でならない。
5. 自信満々の記者会見
2014年1月30日(木)、理化学研究所 神戸・発生・再生科学総合研究センターにて英科学誌『Nature』に掲載されたSTAP細胞に関する2本の論文の発表を受けて、記者会見が行われた。
この会見には、筆頭著者の小保方晴子氏をはじめ、共著者である笹井芳樹氏、若山照彦氏も同席し、3人とも晴れやかな笑顔を見せていた。
小保方氏のプレゼンテーションは、自信に満ちた堂々たるものであり、発言の端々からは研究への強い確信が感じられた。
仮にこの時点で研究不正が存在していたのだとすれば、はたして人はあれほど自信満々で発表できるものなのか、否、そんな芸当は詐欺師でも無理だろう。
また、不正を侵すような不誠実な人間であれば、公開処刑となるような記者会見の場に立つことはとてもできないだろう。
がしかし、小保方氏は満身創痍の容態にも拘わらず、あの残酷な場に立って2時間以上も誠実に受け答えしていた。
この騒動については、単なる研究不正という言葉では語りきれない、複雑で深い闇が存在しているように思えてならない。
果たして小保方氏だけに責任を押し付けてよかったんだろうか?
小保方氏が哀れでならない。
□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□
藤井風が歌う「白日」
この曲は誰が歌っても素敵やん。
