コピーライターの渡辺さん。

無印良品の家 カタログ MUJI_HOUSE_catalog (1)

渡辺さんに翻弄された話。


コピーライターの渡辺裕一さん、
この方を皆様はご存じだろうか?

愛らしいペンギンのキャラクター、
松田聖子のSWEET MEMORIES、
所ジョージのナレーションで
1980年代に一世を風靡した
サントリーCANビールのCM、

そのシリーズすべての
広告コピー制作を務めていたのが
その渡辺裕一さんである。

えっ? そんなCM知らない?

では、コチラをご覧頂きたい。

今から30年前、
京都での学生時代を過ごした
例のワンルームマンション

そのマンションの冷蔵庫に
いつも常備していたのが、
このペンギンの缶ビールであった。

渡辺さんはこのCMの他、

日清カップヌードルの
「シュワルツネッガー、食べる。」
「ちからこぶる。」

日本航空の
「ただ今、JALで移動中。」

などなど、
誰もが知る数々のヒット作の
広告コピーを手掛けられ、
66歳の今も現役であられる。

何しろ1980年代と言えば
コピーライター全盛期の時代で
仲畑貴志氏や糸井重里氏はじめ
数多くの人気コピーライターが
大活躍した時代でもあったのだ。

それ故に人気コピーライターの
報酬も尋常ではなかったと
記憶している。

因みに渡辺さんは
高校を卒業してすぐ、
北海道で蟹工船に乗ったり、
カナダでサケマス漁をしたり、
たまに無銭飲食などもする
世界中を舞台にした今でいう
フリーターのはしりのような
20代を過ごされていたそうだ。

その海外での数奇な経験を活かし、
偶然28歳でコピーライターの
職に就いている。

但し、若いうちからの
読書量は半端なかったようで
コピーライターになる下地は
20代前半の時より
形成されていたと思われる。

で、いつの頃からだろうか、
そんな渡辺さんが書いている
酒の肴日記」というブログを
僕は偶然愛読するようになった。

単なる酒に纏わる日記なのだが、
広告コピーライターらしい
シンプルで分かりやすい軽快な
文章がとても痛快なのだ。

しかも

開高健記念館に訪問した翌日、
過去に遡って
そのブログを読んでいると、
漁業経験とサントリー繋がりで
渡辺さんは開高健先生とも
知己があったことを知る。

加えて

「小説家の開高さん」という
エッセイも上梓されており、
開高先生との沢山の思い出話も
書籍にして残されていたのだ。

さらにさらに

無印良品の家のWEBサイトを
自分の書斎の参考になればと
湖畔の小屋」と題された
エッセイを読み耽っていたら、
どこかで読んだ覚えのある
独特の言い回しに気付いた。

そう、
渡辺さんのエッセイだったのだ。

その時、

そのあまりの偶然性に
この世はひょっとすると
渡辺裕一さんがたった一人で
作り出している世界ではないか?

と、僕がパラダイムシフトに
陥ったことは言うまでもない。

コピーライターの渡辺さん、
恐るべし存在ではないだろうか。