悠々として 急げ。 開高健
2016年4月9日(土)晴天の日、
茅ヶ崎海岸の近くに今も残る
文豪 開高健先生の旧邸宅、
現在は茅ヶ崎市に寄贈され、
開高健記念会によって
運営委託されている
憧れの開高健記念館に
初めてお邪魔してきました。
コチラがその旧邸宅。
烏帽子岩が目の前に見える
茅ヶ崎海岸から徒歩で約3分、
閑静な住宅街の中にある
白い壁が印象的な建物デス。
1974年、東京・杉並から
家族から逃げ出すかのように
この茅ヶ崎の新居に引っ越しし、
1989年12月9日に開高先生が
お亡くなりになってから
26年経過するもボランティアの
皆様のご尽力によって
建物は未だ健在であります。
エントランスの門には
開高健先生のお名前と
奥様の牧洋子夫人のお名前が。
北 康利著書の
「佐治敬三と開高健 最強のふたり」
に書かれた開高健先生の
生き様に魅せられて以来、
この記念館に訪問するのを
楽しみにしていました。
門正面の石には、
かの有名な名言がどっかりと。
入ってきて
人生と叫び
出ていって
死と叫ぶ
エントランス左には、
かの有名な名言、
悠々として
急げ
開高 健
そして、敬愛する島地勝彦先生が
開高先生の編集担当だった頃、
牧羊子夫人に訪問がばれないよう
匍匐前進をして開高先生の
書斎まで辿りついたという
「哲学者の小経」が
その右側に続いてます。
ま、島地先生は奥様に
嫌われてたってことですね(笑)
入場料は無料なんですが、
エントランスすぐの場所で
記帳だけ済ませます。
4月24日(日)までは
開高健と柳原良平展
二人のトリス広告史やってます。
柳原良平さんはかの有名な
サントリーのキャラクター
「アンクルトリス」の生みの親デス。
建物の中に入ると、
元々リビングだったと思われる
空間が目の前に広がります。
この部屋では常設展が開催され、
開高健先生ゆかりの品が
これでもかと閲覧できます。
テレビ映像も放映されます。
上のほうに目をやると、
ベトナム戦争ザ・マック作戦
従軍時の貴重な写真が。
巨大なトナカイの剥製も。
「裸の王様」での
芥川賞受賞記念の懐中時計。
元々は腕時計だったものを
後年ロンジンに掛け合って、
懐中時計に替えてもらったとか。
ベトナム戦争、
朝日新聞特派員時の携帯品
ベトナム戦争、
ザ・マック作戦従軍時に
着用していたヘルメット
愛用のパイプ
戦場のジッポ
続いて企画展の部屋へ
開高健と柳原良平展
二人のトリス広告史
「人間」らしくやりたいナ
トリスを飲んで
「人間」らしくやりたいナ
「人間」なんだからナ
※1961年に発表されたコピー
コチラでもご紹介済みですね。
数々の写真と広告画
沢山の書籍だけでなく、
ウィスキーとワインもずらり。
この企画展の部屋は
開高健先生44歳以前に
使用ていた書斎と思われます。
学生時代の開高健
晩年の雰囲気とは違って
細くて見るからに秀才そう(笑)
開高健と牧洋子
こんなに仲の良かった時代も?
苦笑
さ、今度は哲学者の小経から
悠々として 急げ。 開高健
もともとはローマ帝国の
初代皇帝アウグストゥスの語った
ラテン語 “Festina lente
(フェスティーナ・レンテ)”が
語源だそうで、「良い結果を
早く得るには、丁寧に進めなさい」
とか、「急がば回れ」に近い訳とか。
それを開高健先生に語らせると
「悠々として 急げ」という
大河の流れのような美しい
響きの言葉に変わるわけですね。
朝露の一滴にも
天と地が
映っている
開高健
明日、世界が
滅びるとしても
今日、あなたは
リンゴの木を植える
開高健
もともとはルーマニア出身の詩人
コンスタンチン・ビルジル・
ゲオルギウ(1916-92)が書いた
小説「第二のチャンス」の巻末に
宗教改革家マルチン・ルターの
言葉として引用されていた言葉
明日、世界が
滅びるとしても
今日、わたしは
リンゴの木を植える
を開高健先生流に
「わたしは」のところを
「あなたは」にアレンジしたもの。
実はマルチン・ルターが
この言葉を実際に使ったという
証拠は見つかってないそうデス。
但し、ルターなら使っていても
おかしくない言葉として
既成事実化されているとか。
遠い道を
ゆっくりと
けれど休まずに
歩いていく人がいる
開高健
この地点は
匍匐前進の必要ありデス(笑)
裏庭
サンルーム
さ、開高健先生44歳の時に
増築された建物にある書斎が
いよいよ目の前に!(興奮)
併設されたサンルームより
開高先生生前のままの書斎を
ガラス越しに見ることが出来ます。
26年前の1989年12月、
当時のままの書斎が今そこに。
因みに離れを増築した理由は
もともと家族から逃げるように
杉並からこの茅ケ崎の新居に
ひとり引っ越してきたのですが、
程なくして、
妻の牧羊子と娘の道子が
居座るように住み着いた、
それで仕方なく離れを増築した。
そんな経緯だったそうです。
生前にこの書斎で
南川三治郎氏が撮影した
貴重な写真を見つけました。
コチラでご確認下さい。
旧邸宅訪問と言えば、
白洲次郎さんの武相荘以来でしたが、
この開高健先生の旧邸宅も
その人となりや生き様を
垣間見ることができる
素晴らしい地でありました。
開高健記念館
住所:
〒253-0054
神奈川県茅ケ崎市東海岸南6-6-64
Tel & Fax: (0467) 87-0567
開館日:
毎週、金・土・日曜日の3日間と祝祭日。
年末年始(12月29日~1月3日)は休館。
また展示替え等のため、
臨時に休館することがあるそうです。
開館時間:
4~10月 午前10時~午後6時
(入館は午後5時30分まで)
11~3月 午前10時~午後5時
(入館は午後4時30分まで)
入館料:無料
交通:
JR茅ヶ崎駅南口より約2Km。
東海岸北5丁目バス停より約600m
(辻堂駅南口行き 辻02系 辻13系)。
コミュニティバス
東部循環市立病院線・松が丘コース
15番バス停「開高健記念館」下車すぐ。
駐車場:
普通車7~8台の駐車スペースあり
何度でもお邪魔したくなる場所デス。