千住家にストラディヴァリウスが来た日。

antonio_stradivari 千住家にストラディヴァリウスが来た日。 千住文子

心優しい家族の物語。


芸術・音楽と言えばの
千住三兄妹をご存じでしょうか。

長兄:千住 博(1958年1月7日 – )
日本画家の権威であり、
現在、京都造形芸術大学附属康耀堂美術館館長。

2011年グッチ創設90週年記念の
京都・金閣寺でのアーカイブ展を
監修したことでも知られる。

次兄:千住 明(1960年10月21日 – )
作曲家兼音楽プロデューサー。

妹:千住 真理子(1962年4月3日 – )
ストラディヴァリウス制作の
ヴァイオリンの中でも名器中の
名器「デュランティ」を操る
世界的ヴァイオリニスト。

以上、今も世界で活躍している
知る人ぞ知る芸術家三兄弟デス。

父親が慶応大学工学部の
千住鎮雄教授であった為、
兄妹3人とも慶応高校出身。

にも拘わらず、
長兄、次兄は慶応大学に進学せず、
自身の大志を貫くため、
死にもの狂いで絵や音楽を勉強し、
ともに難関・東京芸術大学へ進学。

妹・真理子さんは中学の時、
既にプロバイオリニストだった為
逆に音楽大学へは進学せずに
そのまま慶応大学に進学したという
異色の経歴をもつ三兄妹。

そんな3人の天才芸術家兄妹を
育て上げた母・千住文子さんによる
子育てエッセイが冒頭画像の著書、

千住家にストラディヴァリウスが来た日

もちろん同書には、
家族愛を語るエッセイが
ふんだんに盛り込まれてるんですが、
その中でも特に心に残ったのが、
以下の2つの家族愛の形。

ひとつは、
まだ三兄妹が小さかった頃、
兄妹たちは嫌な顔することなく、
率先して祖父母の介護を手伝い、
最期、祖父母たちは二人とも
孫である三兄妹たちの腕の中で
幸せに看取られたそうデス。

そして、もうひとつは、
今から14年前の2002年、
妹・千住真理子さんが
3億円とも言われる
ストラディヴァリウスの名器を
手に入れるチャンスがあった際、
兄二人はそれを運命と心得、
莫大な借金の保証人となり、
妹・真理子さんを援助したそう。

これらの無償の愛が
彼らの礎となり、
さらに日々地道な努力を
おのおのが積み重ねたことで、
類い稀なる崇高な芸術性が
彼ら三兄妹に備わったのだなと、
そんなふうに読める良書でした。

PS.

どうして3兄妹が
周囲に流されることなく、
独自の芸術・音楽の道へと歩んだか?

父・千住鎮雄教授の
「志を持ちなさい」の教育が
大きく影響したのかなと。

千住家にストラディヴァリウスが来た日
★★★☆☆
著者:千住文子