光・帰去来辞 x 倫子。

帰去来辞

帰去来辞・琵琶行


《光る君へ》第13回放送『進むべき道』

まひろことのちの紫式部が
道長と別れてから4年後のこと

道長の正妻となった
黒木華演じる倫子が
女房の職を探していた
まひろに職を斡旋しようと
土御門邸にまひろを呼び出し
その際まひろにとある手紙を見せる。

道長の文箱で見つけたという
その手紙には陶淵明の漢詩
《帰去来辞》が書かれていた。

そう、まひろが道長に宛てたものだ。

後学のため以下序文だけ紹介する。

歸去來兮
田園將蕪胡不歸
既自以心爲形役  
奚惆悵而獨悲    
悟已往之不諫    
知來者之可追    
實迷途其未遠    
覺今是而昨非 
舟遙遙以輕
風飄飄而吹衣    
問征夫以前路    
恨晨光之熹微      

歸去來兮
田園 將に蕪れなんとす 胡ぞ歸らざる
既に自ら心を以て形の役と爲す
奚ぞ惆悵して獨り悲しむ
已往の諫めざるを悟り
來者の追ふ可きを知る
實に途に迷ふこと 其れ未だ遠からずして
覺る 今は是にして 昨は非なるを
舟は遙遙として 以て輕し
風は飄飄として 衣を吹く
征夫に問ふに 前路を以ってし
晨光の熹微なるを恨む 

さあ家に帰ろう
田畑は荒れ果ててるころだろう
これまで食っていくため
自分を犠牲にして働いてきた
もう後悔してばかりはしていられない
過ぎ去った過去はもう変えられないのだ
理想の未来に向かって突き進むしかない
道に迷ってはいたが
そんなに遠く外れてはいないはずだ
昨日までは確かに間違っていた
でも今日より正しい道を歩んでいる
船はゆらゆらと風に煽られ
風はひょうひょうと衣をなびかせている
旅人に故郷への道のりを聞くが
夜明けの光が薄暗いのだけは残念ではあるが

官僚の仕事に明け暮れるも
何かを悟ったようで
故郷の家に帰って余生を過ごす
なんとも侘び錆びの効いた漢詩である。

さて、話を手紙の件に戻すと
女があまり学ぶことのない
漢文で書かれてはいるものの
倫子は女の字ではないかと疑い
妾の明子からの手紙ではないかと
まひろにほのめかす。

がしかし、、、

よくよく考えると
倫子の疑念は明子ではなく
まひろに向けられたものだろう。

今はまだ倫子の微笑の中に
オブラートされているようだが
いつか倫子がまひろに対し
牙をむくのではないかと危惧している。

倫 子 怖 い 。

とはいえ、、、

たとえ女が書いた字だとしても
この帰去来辞の漢詩が
果たして焼きもちを焼くほどの
恋文と言えるんだろうか?
かなり違うような気がするんだけど。

それもと倫子の鼻が利きすぎる?

ま、どちらにしても・・・

や っ ぱ り 倫 子 怖 い 。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

惚れてまうやろが(笑)