★★★★☆
FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
著者:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロングランド
アジア・アフリカの貧困地域や紛争地域にて長年医師として従事したスウェーデン人医師が書いた社会科学の解説書。もちろんベストセラー。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)とは?
意識高い系のビジネスマン、あるいはノーベル賞学者でさえも、世界を起きている現象を正しく客観視できていない。事実、それらを一般常識的なテストとして出題すると、回答率は20%にも及ばない。
何故なら「ネガティブ本能」や「パターン化本能」「焦り本能」など人間誰しがもつ10の本能によって間違った思い込みが植え付けられてしまうからである。
著者はそれら誤った思い込みを生む10の本能を実例をもとに紹介し、実証データに基づき客観的に事実を把握するモノの見方、つまり「ファクトフルネス」が如何に大事であるかを本書で説いている。
と、小難しいことを書いているが、ボクが最も興味をひいた点は、誤解を解くために著者が使っていた実例である。
例えばこの図は2017年の国別の平均寿命(縦軸)、平均年間収入(横軸)を表したもの。右上に行けば行くほど、裕福で寿命の長い国というわけである。
中国の平均年収は2017年時点で約16000ドル、30年前が約1700ドルだったので、実に10倍!?驚
もちろん中国だけでなく、発展途上国と呼ばれている国のそのほとんどが飛躍的な収入増を遂げ、各家庭への電気や水道などのインフラ整備率も大幅に改善されている。
その結果、2017年には最下層(レベル1)の貧困人口は、70億人中8億人まで減少し、2040年には80億人中5億人と、さらに貧困比率を下げていくという予測がでている。
西洋文明が200年掛かって起こした改善を、発展途上国は50年でやり遂げようとしているのだ。
そういうわけで、世界はそんなに軟じゃなかった。
がしかし、当然ながら発展途上国の先進国化は資源不足を生み出し、いずれは資源価格高騰による超インフレ化に直面するのはもはや避けられないだろう。
PS.
但し、先進国レベルの給料水準は頭打ちとなっているばかりか、AIの進出による業務効率化などにより先行きは不透明。油断大敵デス。
□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□□□□
Wonder Cocktail / ワンダーカクテル
vol.19 stand up!
著者:わたせせいぞう