読・紫式部日記。

新版 紫式部日記 全訳注 (講談社学術文庫)

新版 紫式部日記 全訳注


雅な世界を描いてたわりに
結構な毒舌女子だったのネ(笑)

『紫式部日記』とは?

藤原道長の要請で
一条天皇の中宮だった
娘・彰子の女房として
8年ほど仕えた紫式部が
1008年(寛弘5年)秋から
1010年(寛弘7年)正月まで
1年半ほど宮中の様子を綴った
日記と手紙から構成されている書のこと。

清少納言の『枕草子』もそうだけど
紫式部日記も冒頭文の描写が美しい。

秋のけはひ入りたつままに 土御門殿のありさま いはむかたなくをかし。池のわたりの梢ども 遣水のほとりの草むら おのがじし色づきわたりつつ 大方の空も艷なるにもてはやされて 不断の御読経の声々 あはれまさりけり。やうやう凉しき風のけはひに 例の絶えせぬ水の音なひ 夜もすがら聞きまがはさる。

御前にも 近うさぶらふ人びとはかなき物語するをきこしめしつつ 悩ましうおはしますべかめるを さりげなくもて隠させたまへる御ありさまなどの いとさらなることなれど 憂き世の慰めには かかる御前をこそ 尋ねまいるべかりけれと 現し心をばひき違へ たとしへなくよろづ忘らるるも かつはあやし。

道長の邸宅の佇まいが
どれほど優雅であったかを
明媚に表現されてていとをかし。

また、始めころの日記には
中宮彰子の出産の様子など
赤裸々に綴られてることに驚かされる。

この時代、藤原実資の日記
小右記でも書かれているように
お産や病で悶絶する姿は
物怪どもの仕業とされており
徳の高い僧が別の部屋に陣取り
呪術にも似た激しい祈祷を行い
苦しむ者に憑りついた物怪どもを
別の者に駆り移るよう仕向けたりするのだ。

凄 い 世 界 だ な 。

さらに和泉式部や赤染衛門
そして清少納言について書いた
50番目の日記が上から目線で笑える。

後輩だった和泉式部については
表現に色艶があると評価しながらも
彼女の他人の歌の批評を聞いていると
あまり歌を分かってるようには思えんし
こちらが恥ずかしく思うほどの優れた歌人とも思えんと。

先輩だった赤染衛門については
歌がそれほど優れているとは思えない。
でも、世間に知られている歌は
こちらが恥ずかしくなるほど立派な詠みぶりだとも。

誉めてんのか貶してるのかよう分からんし(笑)

そして、清少納言については辛辣だ。

したり顔にいみじうはべりける人!?
※ひどく得意顔した人

たぶん『枕草子』を
読んだ上での批評だと思うが
賢ぶって漢字を書き散らかしても
その内容はぜんぜんダメダメ
いつかは中味がないことがバレて
彼女は悲しい末路を辿るでしょうよと。

あまりに清少納言を
こてんぱんに書きすぎてて
その中傷が紫式部自身に
跳ね返ってるようで痛々しい。

他にも斎院の女房たちの悪口や
下女に対する心無い差別も
ところどころで見受けられ
表向き大人しく振舞ってたようでも
心の奥底では毒のある性格だったと思われる。

なお、53番と57番の日記に
源氏物語についての記述があり
その記述がもとになって
作者が紫式部であったという根拠になっている。

以上、いやはや勉強になり申した。

枕草子も読んでみたくなったぞよ。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

2026年大河ドラマは・・・

豊臣兄弟!

豊臣系の戦国大河は
おもう腹一杯な感じだけど
主演は「いちばんすきな花」で
好感度の高かった仲野太賀くんを大抜擢!

脚本は半沢直樹
流星ワゴンでお馴染みの
八津弘幸さん

めちゃ期待できるかもー