『 沈まぬ太陽 』 を読まずには死ねません。

沈まぬ大量 山崎豊子

フィクション社会派作品の先駆けデス。


皆様も既にご承知の通り
かつての日本航空の内情を
著者・山崎豊子が徹底的に調べ上げ、
その実情を元に長編小説化された
傑作中の傑作と言える作品デス。

原作は700万部以上を売り上げ、
WOWOWでドラマ化されるや
大変な人気となりましたので、
ご覧になった方も多いかと。

本作品の何が凄いかと言えば、

アフリカ篇
御巣鷹山篇
会長室篇

以上3部作合計5巻、
2000ページをも超える長編作品
であることからも分かるように
経営評論家も黙らせるほど
突っ込んだ執念の取材力と、

その徹底した取材を元にした
濃厚で緻密なストーリー展開の
素晴らしさはもちろんのことですが、
その光景や心理描写の表現力が絶品。

第一章となる「アフリカ篇」では、
カラチ、テヘラン、ナイロビなど
1970年代の想像もつかない街の風景、
アフリカ・サファリでの狩猟の様子。

第二章となる「御巣鷹山篇」では、
墜落事故の惨劇の状況も、
事故後の遺族たちの慟哭や苦しみ、
それを真正面から
受け止めなければならなかった
航空会社遺族相談室の担当者の苦艱。

第三章となる「会長室篇」では、
政治家、官僚、航空会社役員たちの
魑魅魍魎とした人間の悍ましい姿。

それらの描写が文字だけで実際に
目の前で起こっているかのように
見事に表現されているのデス。
しかもすらすら読め

恐るべき山崎豊子先生の文章力。

また東京都の懸案事項となっている
豊洲市場も本作に描かれたような
おどろおどろしい権力抗争の構図が
発端になっているのかもしれません。

そんなわけで、
私の唯一の財産はエスプリです。
よろしく、近日中に山崎豊子全作品、
読了することを心に刻みつけ申した。

『 沈まぬ太陽 』
著者:山崎豊子
★★★★☆

PS.

日本航空123便墜落事故現場は
「御巣鷹山」と言われていますが、
これは事故の最初の報道で
誤って伝えられた山の名前が
そのまま生きてしまったため。

正確には、
「高天原山(たかまがはらやま)」
の尾根となります。

なお、その後、
上野村村長によって
墜落地点は「御巣鷹の尾根」と
命名されることとなりました。