平家物語ブーム密かに到来中。
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらはす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
ひとへに風の前の塵に同じ
さて、以上の書き出しで始まる
平家の栄枯盛衰の様子を描いた
作者不明の軍記物語と言えば
皆様もよくご存じの平家物語。
いにしえの流麗な名文で
語り継がれてきたその物語は
最強レベルの日本文学と言っても
過言ではないほどデス。
中でも平清盛の孫に当たる
平家きってのイケメンと言われた
平維盛(たいらのこれもり)が
愛する妻子だけを京都に残し
これから西国に都落ちするという
別れのシーンがあるんですが
妻・建春門院新大納言こと
北の方が維盛に語ったという
最後の言葉がとりわけ秀逸なんで
以下、ご紹介させて頂きます。
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【 原 文 】
いづくまでも伴なひ奉り
同じ野原の露ともきえ
一つ底の水屑ともならんとこそ契りしに
さればさ夜の寝覚のむつごとは
皆いつはりになりにけり。
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【 現代訳 】
最期まで運命をともにし
同じ野原の露と消えても
同じ海の底に沈んでもかまわないと
二人で語り合ったではないですか。
あの夜の寝覚めの約束は
すべて嘘だったとでもいうのですか。
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以上、読めば読むほど
古語のほうが美しい言い回しかと。
因みにこの悲哀の別れの後
京都に取り残された北の方は
結果、源頼朝の重臣・吉田経房と
再婚して生きる道を選んでいます。
平維盛にとって
大変辛い選択でしたが
それでも愛する北の方に
生きていて欲しかったのかなと。
なお、都落ちした維盛は
一ノ谷の戦い前後に戦線を離脱。
高野山に入って出家した後
那智の沖で入水したそうな(涙)
享年27歳。
□□□ 東雲乃夕 □□□□□□□□□□
ギリギリ夏持ち堪えてます。