徹・NHKスペシャル 日本海軍 400時間の証言。

海軍

NHKスペシャル取材班、Good Job!


2009年に放送され当時話題となったNHKスペシャル『日本海軍 400時間の証言』。その舞台裏を克明に記した冒頭画像の書『日本海軍400時間の証言: 軍令部・参謀たちが語った敗戦』があまりに素晴らしい出来だったので備忘録。

NHKスペシャル 日本海軍 400時間の証言

まず始めに同番組が作られた経緯は400時間にも及ぶある録音テープがNHKスペシャル取材班によって発見されたことに始まる。それは戦時中に海軍軍令部や海軍省に所属した将校たちが、戦後1980年から11年間、秘密裏に集まって、太平洋戦争開戦に至る経緯など海軍の恥部となるような問題点を洗いざらい討議した「海軍反省会」の録音テープだった。

取材班はその録音テープの内容を徹底的に精査、当時の参加者のほとんどが鬼籍に入る中、発言者の子息を探し出し、発言に関連したメモなどの遺品などが残されていないか、総力を挙げて徹底取材。当時の海軍はなぜ勝てるはずのない対米戦争を決意し、どのような過程を経て敗戦に向かって行ったのかを明らかにした。そして、番組内で放送できなかった内容や調査の過程、スタッフの思いの丈をぶつけて出来上がったのが本書と言える。

さて、実際に放送された3回の内容は・・・

第1回放送:開戦 “海軍あって国家なし”

海軍による対米戦開戦の発端は、日本という国家を守るためでなく、開戦拒否で起こるかもしれない海軍予算大幅削減の怖れから海軍という組織を守るための利己的な目的による決断だったという・・・因みに海軍戦争検討会議記録によれば、永野修身軍令部総長は陸軍や右翼によるクーデターを避けるため開戦は仕方なかったと述べていたとされる。

第2回放送:特攻 “やましき沈黙”

神風、回天、桜花、震洋といった特攻作戦について討論会参加者の誰もが否定的な作戦だった。しかし、当時個々の保身のためか誰も特攻作戦に反対する声を挙げられずみんな黙り込んでしまった。その様子こそ「やましき沈黙」。今の時代にもありうる沈黙と言えるのではないだろうか。

第3回放送:戦犯裁判 “第二の戦争”

昭和天皇を裁判から守るためとしながらも、戦地で戦った幹部将校たちに捕虜の処刑などの罪をすべて被せたことで、海軍はA級戦犯の中から誰一人と絞首刑を出さなかった。また大西瀧治郎といった終戦直後潔く自決した者たちにもいわれない罪が被せられ・・・

以上3回の放送にかけるNHKスペシャル取材班の志やプロフェッショナルぶりが垣間見れる一冊、読んでおいて損ナシだ。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

コレくらいしなれる人になりたい(笑)