茶・千利休 本覚坊遺文。

千利休 本覚坊遺文

千利休 本覚坊遺文


なにゆえ師利休は太閤より死を賜り、一言の申し開きもせず従容と死に赴いたのか?

現代においもてまだ解き明かされたとはいえないその謎に、長年利休に仕えていたという弟子・本覚坊(奥田瑛士)が、実在した偉人たち、東陽坊(内藤武敏)、古田織部(加藤剛)、織田有楽斎(萬屋錦之介)、千宗旦(川野太郎)、原作では板部岡江雪斎らと利休死後に時を置いて再会、知遇を得ることで、図らずも師利休の賜死の真相に迫っていくという物語。

はて、このストーリー展開に身に覚えはないだろうか?

そう、浅田次郎原作の「壬生義士伝」、その「壬生義士伝」をオマージュしたという百田尚樹原作の「永遠のゼロ」がまさにそれだ。

残念ながら実写版ではその演出がやや失われ気味だったが、原作においては、本覚坊が利休ゆかりの偉人たちの言葉に耳を傾けることによって、利休の人となりと賜死の謎を解き明かしていくという展開が明確に示されていた。

名作たちの原石に出逢えたこと、原作者・井上靖に感動したことは言うまでもない。

侘数寄常住 茶之湯肝要。

因みに松岡正剛の千夜千冊によると、本覚坊という名前は天正16年と18年の茶会記に見えるらしい。