珈・愛しのタチアナ。

愛しのタチアナ

愛しのタチアナ


ちょっと前の東雲乃呟に
《タチアナ焙煎所》って名の
小さなコーヒーショップを
紹介したのを覚えているだろうか。

えっ?覚えてないって?

では、まずはコチラをご覧アレ。

ハイ、そういうこと。

タチアナ焙煎所の名の由来が
映画史上最も沢山珈琲を飲む作品
《愛しのタチアナ》からなのだそう。

で、折角店にお邪魔するんなら
その前に映画を観とかなあかんやろ
ってことで本作品を鑑賞したというわけだ。

まだ行くとは決めてないけどネ(汗)

この映画《愛しのタチアナ》
制作されたのは1994年なんだけど
舞台は1960年代のフィンランド!?

そう、フィンランド映画なのだ。

フィンランドなんてノルウェイや
スウェーデンの横にある北欧の国で
ノキアぐらいしか覚えがないんだけど

冒頭のポスターにあるような
演者たちのアンニュイな目つき
そして、ミニマルなセットがたまらない。

例えば珈琲ショップなんかは・・・

愛しのタチアナ

余計な装飾は一切なし
壁に貼られたポスターぐらいだ。

但し、カウンターも
机も椅子もポールスタンドも
どれもデザインは地味に◎。

愛しのタチアナ

ガソリンスタンドがまたやばい。

雑草が清々しく見えるくらいだ(笑)

この作品を観ていると
如何に今の時代が暖衣飽食に
侵されているかがよく分かる。

登場人物みな金欠であるが
それぞれに独特のスタイルをもち
決して自分を卑下するようなところはない。

心根の部分が満ち足りていればこそだ。

さて、そんな時代ではあるが
こんな贅沢品が登場して驚いた。

愛しのタチアナ

車に備えられた
カセットデッキならぬ

レコードデッキ!?

そんなの存在してたんだ!?驚

因みに初めてカセットデッキが
車に搭載されたのは1970年代半ば
それ以前は8トラックセットってのが普及してたそうだ。

以上、あまりに地味な作品で
こんなの映画じゃないだろう!?
と、退屈に思われるかもしれない
多分9割近くの人にはウケないだろう。

でも、この作品のもつ
匂いとか香りみたいなものを
嗅ぎ分けることができたならば
この時代を扱った欧米の映画作品を
もっとさわやま観てみたくなるはずだ。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

天使が通ると、恋が芽ばえる。

上記は本作品のサブタイトルなのだが
「天使が通る」という言葉はご存じだろうか。

二葉亭四迷の「平凡」39話に
以下のように表現されている。

============================

パタリと話が休やんだ。
雪江さんも黙って了う
松も黙って了う。

何処でか遠方で
犬の啼声が聞える。

所謂いわゆる天使が通ったのだ。

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つまり、座談で会話が途切れ
沈黙が起きる瞬間のことを
「天使が通る」と言うらしい。

因みにフランスの諺だそうである。

冒頭ポスターの描写が
まさにその瞬間を捉えたものだ。