ア マ ゾ ン の 死 角 。

アマゾンに勝つ経営。

週刊東洋経済 2019年1/26号より


本誌はまだ読んでないんですけど、ボクが思うに天下のアマゾンに勝つにはコレしかないと思うんですけどどでしょ?

◆ アマゾンに死角はない?

ネット通販の巨人ことアマゾンの株式時価総額はただ今8740.71億ドル(2019年1月24日現在)。

日本円にして約87兆円!?

世界のトヨタ自動車ですら株式時価総額は22兆円であるから軽く4倍だ。過去十数年、数多の世界的経営評論家たちがアマゾンの死角もしくは弱点を論評してきたが、それらに対しアマゾンは少しも揺らぐことなく今も膨張を続けている。

果たして本当にアマゾンに死角はないのだろうか?

ある。

死角がないわけがない。

しかもその死角とはアマゾンが創業時より最大の武器としていた”ロングテール”にあると思っている。

 

◆ ロングテールとは?

まずは”ロングテール”を簡単に説明しておこう。

“ロングテール”とは、売れ筋/死に筋に関係なく幅広く取扱アイテムを広げることで、対象となりえる顧客の総数を増やし、全体の売上げを最大化するという販売戦略である。

上の画像で説明すれば、他社を凌ぐ圧倒的な品揃えさえすれば、売れ筋商品で構成される緑色部の売上よりも、隙間商品による黄色部分の売上のほうが大きくなる上に、結果的に売上の最大化を計れるというオンラインショップ特有の理論だ。

ひらたく言えば、塵も積もれば山となるで、死に筋商品も集まれば巨大な売上を形成するというものである。

パレートの法則(2:8の法則)を逆にいった理論とも言える。

創業当時のアマゾンは書籍の販売に集中し、リアルな書店では決して取り扱えなかったマニアックな本まで取り揃えることで、カテゴリーキラーとなったことは記憶に新しい。

 

◆ トイザらスの破綻

かつてこのロングテール理論のはしりとしてカテゴリーキラーとなった巨大リテール企業がある。

そう。トイザらスである。

おもちゃをはじめ、子供に関わるすべてのアイテムを豊富に揃えたことで、街のおもちゃ屋をわずかな期間で駆逐してしまった。

しかし、その後はどうであったろうか?

世界最大の小売業であるウォルマートが出現するやトイザらスの市場は徐々に奪われ、ネット販売ではアマゾンと共闘して打開策を講じたものの、ついには52億ドルという巨額負債を抱え、昨年2017年9月、米トイザらスは破綻するに至った。

ウォルマートに追いやられた理由は明瞭だ。トイザらスはどのおもちゃ屋よりも圧倒的に豊富な品揃えでなければならなかったため、隙間商品までも店頭ストックせねばならなかった。そして、その隙間商品たちはいつの間にか巨大なデッドストックとなり、販売管理費その他のコストを上昇させてしまっていたのだ。

それ故に売れ筋だけに絞った品揃えで販管費を大幅に下げ、格安でおもちゃを販売できたウォルマートに敗れ去った。つまり、トイザらスと同様、強みとされていた”ロングテール”に実はアマゾン最大の弱み、つまり欠点が隠れているのだ。

 

◆ ロボティクスは無敵じゃない

例えば隙間商品を無数に在庫することによる入庫作業、倉敷料などはその最たるもの。各メーカーから送付されてくる商品の梱包は様々な形態で、世界最強のロボティクスを誇るアマゾンのハイテク倉庫と言えど、入庫・棚割に関わる作業は人手に頼らざるを得ない。またそれら必要な作業をロボット化できたとしても巨額の開発費用は継続的に必要となる。

つまり、ロングテールはその部分だけでを見ても販売効率上決して究極な販売体制とは言えないのだ。既にアマゾンが送料値上げなどコストの上昇に耐えきれず共同マーケティングプログラムなどと言った名目でメーカーから無理やり年貢を搾り取ろうとしていることでも明らかである。

 

◆ アマゾンを打倒するには?

それほど難しくはない。アマゾンの逆を行くことである。

品揃えを売れ筋のみに集中させ、アマゾンを遥かに凌ぐ低コストな販管費を武器にアマゾンより1円でも安く送料無料で販売できる体制を作ることだ。その為にはメーカーと密接に取り組むことで開発された人手を一切介さない入庫・在庫・梱包・出荷のバックエンドのロボティクスが必要だろう。

もっと理想を言えば、企画・生産・入庫・在庫・販売・出庫・カスタマーサービスなどすべてを自社の管理で一気通貫できるサプライチェーンの構築が良いだろう。但し、米アマゾンは既にこの自社の弱点に気付いており、プライベート商品の開発に余念がない。

急ぐなら今だ。