in 東京国立博物館
11/29(日)まで開催予定の特別展「桃山―天下人の100 年」を鑑賞してまいりました。
いつもならば2時間待ちは当たり前の大展覧会、幸か不幸かコロナ禍故の入場予約制につき待ち時間はほぼゼロ!この機会を見逃すわけには参りませぬ。
そして、安土桃山時代を代表する230品モノお宝の山!山!山!は3時間の鑑賞時間でも不十分なほど充実してましたヨ。
中でも歴史小説などによく出てくる以下作品に大感激でございました。
「四季花鳥図屏風」
伝狩野永徳
白鶴美術館蔵
伝狩野永徳の作品とされているものの圧巻の美しさ。伝とはされてるものの間違いなく狩野永徳の作品であるとお見受けしました。
国宝「洛中洛外図屏風 右隻(上杉本)」
狩野永徳
米沢市上杉博物館蔵
国宝「洛中洛外図屏風 左隻(上杉本)」
狩野永徳
米沢市上杉博物館蔵
もう説明不要ですよね。狩野永徳筆とされる傑作デス。
第13代将軍・足利義輝が上杉謙信の上洛を促すため狩野永徳に制作依頼したものの、義輝が松永久秀の嫡男・松永久通と三好三人衆らの手によって暗殺されてしまったため、代わりに織田信長が上杉謙信に贈ったとされる洛中洛外図屏風。
左隻第二扇下のほうには松永久秀邸、左隻第三扇中央には細川邸、左隻第四扇下には足利将軍御所などの邸宅が描かれています。
因みに原田マハ著書の「風神雷神」を読んでからこの絵を見ると感激度10倍増しになりますヨ!
国宝「松林図屏風」
長谷川等伯
東京国立博物館蔵
「幽玄」という言葉はこの絵の為にあるんではないかと思わせた逸品。とにかく実物を見ないとその凄味は分かりませんぞ。
因みに安部龍太郎著書の「等伯」を読んでから見るとさらに感激度を増すよとの指摘ありデス。
国宝「舟橋蒔絵硯箱」
本阿弥光悦
東京国立博物館蔵
琳派の祖と言われる本阿弥光悦の傑作。
『後撰和歌集』源等の和歌「東路乃 佐野の舟橋 かけてのみ 思い渡るを 知る人ぞなき」から「舟橋」の文字を削って、「東路乃 さ乃ゝ かけて濃三 思 わたる を知人そ なき」と表記。
「舟橋」を削った理由はもちろん意匠として箱に舟橋を表現したからですネ。
重文「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」
筆:本阿弥光悦 絵:俵屋宗達
京都国立博物館蔵
柳広司著書の小説「風神雷神」でも登場する本阿弥光悦と俵屋宗達がコラボした傑作。本阿弥光悦の達筆を堪能。
重文「関谷図屏風」
筆:烏丸光広 絵:俵屋宗達
京都国立博物館蔵
江戸初期の著名歌人・烏丸光広と俵屋宗達がコラボした作品。『源氏物語』の主人公・光源氏が石山詣の途中、逢坂の関でかつての愛人・空蝉の一行と出会うのですが、源氏らに道を譲るために牛車を止めて待つ空蝉の一行のみを描いています。
「うち出のはまくるほどに 殿は粟田山こえたまひぬ 行と来とせきとめがたき なみだをや 関の清水と 人はみるらん みぎのこゝろをよみて かきつく をぐるまのえにしは あれなとしへつゝ 又あふみちにゆくもかへるも」 烏丸光広筆
「わくらばに 行きあふみちを 頼みしも なほかひなしや 潮ならぬ海」光源氏
「逢坂の 関やいかなる 関なれば しげきなげきの 中を分くらむ」空蝉
「千利休愛蔵の黒楽茶碗 禿(かぶろ)」
長次郎
表千家不審菴蔵
利休マニアにはたまらない逸品。利休を主人公とした小説を沢山読んでいきましょう。
重文「関ケ原合戦図屏風 右隻」
徳川家康制作依頼
大阪歴史博物館蔵
現存する関ヶ原合戦図屏風の中で最も古い作品デス。大垣城に籠もる西軍や関ヶ原へ向かう家康の姿が描かれてます。
「一の谷馬蘭兜」
「一の谷馬蘭兜と言えば太閤さま」というくらい豊臣秀吉のイメージが香る兜のデザインなんですが、実はこの「一の谷馬蘭兜」については三河の岡崎藩士・志賀家の祖が秀吉より賜った兜だそうデス。大阪城や伏見城、聚楽第などで秀吉の後ろに飾られていた時期があったかもしれませんが、真実は闇の中デス。なお、実物を見ると木製の非常に不安定な作りをしてまして、全然実践向きじゃなさそうでした(苦笑)
因みに大阪城にも「馬藺後立付兜」なるよく似たデザインの復元兜が所蔵されてまして、その兜の由来は蒲生氏郷の家臣であった西村重就に九州攻めの武功として秀吉が贈った兜ととされてるようデス。
以上、絢爛豪華な安土桃山時代を垣間見れるこの大展覧会をお見逃しなく。
□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□
Wonder Cocktail / ワンダーカクテル
vol.31『1/2』
著者:わたせせいぞう