憐・落日燃ゆ。

落日燃ゆ 城山三郎

長州がつくった憲法が日本を滅ぼすことになる。by 広田弘毅


そもそも憲法とは国家権力が暴走することのないよう縛るための法律であるが、大日本帝国憲法が定めた統帥権の独立は逆に軍部を暴走させる権限を与えてしまったと広田は予言していたんだろうか。

但し、組織上たとえ内閣の下に統帥部(参謀本部と軍令部)が置かれていたとしても、幕末から続く尊王攘夷思想が根底にある日本においては遅かれ早かれ軍部の暴走を止めることはできなかっただろうとボクは思う。

さて、終戦後の東京裁判においてA級戦犯として13階段を昇った唯一の文官・広田弘毅、その広田の半生を綴った伝記的小説がこの城山三郎の名著「落日燃ゆ」。

「罪せんと 罵るものあり 免れんと あせる人あり 愚かなるもの」と重光葵元外相が詠んだように戦陣訓の欠片もない憐れな愚将たちが互いに罪を着せ合う中、首相・外務大臣として軍部の暴走を止められなかった自責の念に駆られたのか、一切自己弁護することなく粛々と“death by hanging”の判決を受け入れた広田の潔さには「感服」といった言葉しか浮かばない。

実際の広田弘毅の評価については、軍部大臣現役武官制を復活させたぼんくら首相や、陸軍統制派の言いなりになった挙句、日中戦争を和平に導くチャンスをミスミス逃した軟弱外相など様々な悪評があるのも事実。だが、最期の責任の取り方については阿南惟畿陸相と同様、至上のものであったと思う。

PS.

読了後、広田弘毅について調べていくうちに小説の結末とは違う姿が浮かんできた。東京裁判での彼の責任の取り方は、どうやら潔いものではなかったようなのだ。要・追跡調査。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

MEN’S Preciousより

サステイナビリティが生む新たなメンズスタイルの美学

鴨志田さんの仰る通り。

どんな上質な仕様や縫製であろうが素材がしょぼいとすぐへこたれます。