百・BRUTUS 百読本。

BRUTUS(ブルータス) 2022年1月15日号 No.953[百読本]

BRUTUS 2022年1月15日号


BRUTUSのいう「百読本」とは
100回でも読み返したくなる本のこと。

で、ボクの百読本と言えばやっぱりコレ

村 上 春 樹 本 。

村上さんの著書はどれも
噛めば噛むほど味が出るみたく
読み返すたびに面白くなる
と、今さら気付いた次第(汗)

女のいない男たち 村上春樹

例えばこの短編小説集
女のいない男たち」なんかそう。

西島秀俊主演で映画化された
話題作「ドライブ・マイ・カー」
なんかも掲載されてるんだけど
5年ぶりに読み返してみると
ドライブマイカーに限らず
どの短編もめちゃくちゃ面白い。

いや、ストーリーは
誰にでも書けそうな薄い話で
その証拠に5年前は
星たった二つしかつけてない(汗)

でも、登場人物たちの
脳内をえぐるように描く
村上さんの洞察力は半端なく
今なら四つ星つけてもおかしくない。

以前、かの開高健先生は
主人公が経験した情景や感情を
如何に読者の瞼の裏に
鮮烈に焼き付けるかに重きを
置いていたような気がする。

で、フィッツジェラルドは
語り手が経験した情景や感情を
如何に読者がその場に
居合わせたかのように感じさせるか
そのリアルさに重きを
置いたのではないだろうか
なんてことを考察した覚えがあるが

村上さん本人が以前語っていた
「心の闇の底に下降していく」
という主人公の脳の襞部分まで
押し広げて描こうとする表現力

ひいては読者の心の底まで
掬い取ろうとする文章スタイルに
例えようのない魅力を感じるようになったのだ。

なので、今は太平洋戦争本に
うつつを抜かしてるかもしれないけど
その後は村上春樹本をむさぼるように
再読している自分が想像されるのだ。

ほんの少しずつではあるが
村上主義者に近づてきたかもしれない(笑)

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□

やっぱりこの映像はたまらんちん。

劇場公開が待たれる。