閑休自在 悠々自滴 異口同飲。

閑休自在 悠々自滴 異口同飲 西村佳也 長谷川好男

昔の広告は完全無欠のアートだった。


さて、1999年に刊行されたサントリー「山﨑」の新聞広告集を手に入れました。

閑休自在 悠々自滴 異口同飮

1986年3月より1998年4月までの12年間、朝日新聞朝刊の第四日曜日のテレビ欄の右上の端にひっそりと掲載されていた134篇にわたるサントリー山﨑の新聞広告。その134篇すべてを集めて編集したのがこの書籍デス。やたら縦長になってるのは当時の広告の原寸大だからデス。

コピーを担当していたのが「なにも足さない。なにも引かない。」で知られていたコピーライターの西村佳也氏(※途中1年半ほどだけ電通の菊池昌氏が担当)、アートディレクションを担当していたのがPARCOのポスターで高く評価されていたアートディレクターの長谷川好男氏デス。

閑休自在 悠々自滴 異口同飲 西村佳也 長谷川好男

閑休自在:1986年3月-1989年8月
悠々自滴:1990年6月-1992年2月
異口同飲:1992年3月-1998年4月

僅か1枚の画像と300文字のコピーで構成されてるんですが、機知に富んだその時どきの歳時記的なテーマが語られ、最後はウイスキーに因んだ蘊蓄が絡められて締めくくられます。本書の前書きの中で作家の村松友視さんが「見事な芸の連鎖である」と評価してますが、まさにその通りで単なる広告に収めておくには忍びないほどの芸術作品と言えるのかなと。「コピーライター」と横文字で書く多少薄っぺらい感じを受けるようになった昨今ですが、実は建築デザイナーや大工さん並に知識や経験、調和を要する職業なんだと改めて実感させていただいた次第デス。

小池一夫先生のこの言葉が脳裏を過ります。

ただ美しい単語が並べば良いというものではなく、日本の書院造や数寄屋造などに見られるような計算尽くされた機能美や様式美といったものが広告コピーにも備わっている必要があるということですね。

そういう理由もありまして、この手のアーカイブとなりうる本に関しては、図書館で借りることはせず、手元において毎夜一話ずつ読み進めるのが正解と考えています。

PS.

それにしても開高健山口瞳から連なるサントリー広告部のDNAはこの当時までも見事受け継がれていたのですね(驚)

★★★★☆
閑休自在 悠々自滴 異口同飮
著者:西村佳也・長谷川好男

 

 

 

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□□□□

先日もご紹介したご朱印集めが、世間で大変賑わっていることは、既に皆さまもご承知の通りかと。

人気の寺社になると1回300円のご朱印が相当の収入源になっているとも聞き及びます。そこで、ちょっと思いついたのが、ご朱印のカリスマライターなんていたら素敵じゃないかなと。ご朱印のカリスマ?なんじゃそりゃな話ですが、つまり寺社の歴史や建築物などから想起されるカリグラフィーを個々にオリジナルデザインし、それを寺社に提供し商売にするという書道家のことなんですね。

なんかそういう職業を主人公にして推理小説書いたら面白いと思いません?主人公のモデルとなるのは吉田羊ということで。否、その前に罰当たりますかね(汗)