左:土屋光逸『増上寺の雪』(1933年)
右:川瀬巴水『奈良春日神社』(1933年)
今年正月にお邪魔した
江戸東京博物館にて
明治時代の二人の浮世絵師
土屋光逸と川瀬巴水(はすい)の
とても素敵な浮世絵を
鑑賞することができましたので
今更ちょこっとご紹介デス。
二人に共通して言えることは
鈴木英人や永井博の
イラストに通じる発色性の美しさ。
どちらも1933年(昭和9年)に
書かれたおよそ80年前の絵ですが
まったく古臭いさを感じません。
■ 左:土屋光逸(79歳)
1870年9月23日-1949年11月13日
左の画像は土屋光逸が
まだ31歳の時の写真ですが、
文句なくイケメンの部類ですね。
今の浜松で生まれるも
「明治の広重」と評された
浮世絵師 小林清親の門人として
16歳の時から東京で絵を学び
「東京風景十二枚」など
多くの風景画の浮世絵を残します。
しかし、日中戦争が始まると、
中国向けの浮世絵の販売が滞り
また太平洋戦争が始まると
アメリカ向けの販売が滞ります。
それ故に晩年は
戦争遺族の求めで
戦死者の肖像画を描いたり
縁起物や床の間用の掛軸を描いて
生計を立てていたそうで
その実力は晩年には発揮できず
残念な形で生涯を終えたようデス。
なお、病弱であったにも拘わらず
79歳まで長生きができたことは
やはり画家は長寿ってことですね。
■ 右:川瀬巴水(74歳)
1883年5月18日-1957年11月7日
土屋光逸より遅れてこと13年
東京の芝で生を受け
14歳の時に川端玉章門下の
青柳墨川の下で日本画を学び
一時は西洋画も学ぶも
結果的にどちらも挫折
その後紆余曲折を経て
日本画 鏑木清方の指導を受け
1910年、27歳の時に
「巴水」の画号を与えられます。
その後、同門・伊東深水の
版画「近江八景」に影響を受け
また当時浮世絵版画が
衰退しつつあったこともあり
吉田博らとともに新しい浮世絵を
確立することに成功します。
土屋光逸とは異なり
生涯、風景の浮世絵師として
生きることができたようで
「昭和の広重」とも呼ばれています。
土屋光逸『根津神社』(1934年)
江戸東京博物館の常設展にて
鑑賞することができる作品ですが
実物を見ると本当に素敵デス。
川瀬巴水「東京二十景」より『芝 増上寺』(1925年)
開運なんでも鑑定団にて
昨年7月5日放送回にて
出品されたこともある版画デス。
評価額は60万円。
意外に低評価。。。。。
3,000枚近く刷られたものの
現在は版木が失われており
後刷りができない作品なんですが
雪の部分が茶色く変色しており
完璧な状態でなかった為
低評価になってしまったそうデス。
状態が良ければ鑑定額は
倍以上になったとのこと。
以上、機会がありましたら
江戸東京博物館にて
二人の天才浮世絵師の作品を
ぜひご覧になってみてください。
□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□□
川瀬巴水の展覧会があるようデス。
「~新版画の美~ 没後60年 川瀬巴水 木版画展」
会期:11月23(木)~11月29日(水)
会場:GINZA SIX 5階 Artglorieux
http://artglorieux.jp/