昭和ノスタルジー。

男の隠れ家 2019年2月号より


昭和40年代のはじめ頃、当時の移動手段と言えば国鉄(今のJR)だった。

三重県の生家から京都にあった母方の実家に帰省するときなどは必ず国鉄を利用していた。

当時の国鉄は年始年末の時期に拘わらず超のつく満員電車。乗車客たちはみな疲れ切った虚ろな目をし、放心状態でカバンを椅子にして腰を掛けていたのを覚えている。

さらに当時の国鉄と言えばどの車両も喫煙OK。社内のあちこちに吸い殻入れが設置され、車内はいつも煙で曇り、煙草の葉が粉々になって落ちていた。

そんな50年前の昭和のそのシーンだけを切り取って思い出すと、戦後の恐ろしく暗い時代だったように思える。

しかし、1964年の東京五輪に続いて1970年には大阪万博が開催され、アメリカに目を向ければ1969年にはアポロが月面着陸に成功するなど、目まぐるしく進化していく人類の叡智に、子供ながら前途洋々な未来を感じていた。

そして、あれから50年、来年2020年には東京五輪、2025年には大阪万博が開催され、ZOZOの前澤社長が月に行く。

そう。歴史は繰り返されるものなのだ。

 

□□□ 東雲乃呟 □□□□□□□□□□

★★★☆☆
キネマの神様
著者:原田マハ

映画好きには必見の小説。

ニューシネマパラダイスをはじめ
お馴染みの名作が続々登場しますヨ。